セミナー集客のコツとは ~ママ税理士のノウハウ~

インタビュー

きっかけは、簿記と父の廃業

【編集部】
こんにちは。本日は酒井税理士事務所代表の酒井麻子先生にお越しいただきました。酒井先生は店舗経営に特化したサポートを強みとしており、開業時より女性起業家向けの講演やセミナーを多数行ってきております。開業して四年間、100年企業を目指す社長を全力でサポートすることをモットーに講演実績80回以上、延べ500名以上の方にお伝えしてきています。

【酒井氏】
税理士を目指すきっかけですが、商業高校を出て簿記だけが得意だったというのがあります。それで何の仕事ができるか考えたときに税理士を知りました。知ったから目指したというわけではなく、自分が育った環境が商店街の近くだったのですね。商店街は中小企業の集まりですよね。その人たちに怒られ世話を見てもらいながら育ちました。なので商店街の人たちに恩返しができる仕事ってなんだろうというのが1つです。

もう一つが、父が2代目社長だったのですが、経営難ではなく情報不足で倒産をしてしまいました。経営情報をくれるのは誰だろうと考えたときに、税理士という立場だと経営者の方に助言しながら一緒に走っていける職業だと知ったので、税理士になりたいと思いました。高校3年生の時ですね。17歳で。それですぐに会計事務所を就職先に決め、就職活動をしました。

【編集部】
高校卒業後すぐに会計事務所に就職なさったのですね。資格を取ったのはいつですか。

【酒井氏】
税理士の資格は28歳から29歳の時に取りました。

【編集部】
そうしますと、高校出てから10年後くらいにようやく税理士の登録をなさり、税理士としてお仕事をなさるようになったという事ですね。10年間会計事務所にお勤めになったという事ですが、そうするとほぼほぼのことをできるようになってしまうのではないですか?

【酒井氏】
そうですね。

【編集部】
税理士じゃないのに税理士の仕事ができてしまうのですね。

【酒井氏】
幅広いので、いろんなことをいろんな場所で学ばせていただきました。

【編集部】
10年間の会計事務所でどのようなことを学ばれたのですか?

【酒井氏】
小さな事から大きな事までですが、個人事業の開業はもちろん、資金繰りのサポート、上場支援、内部統制、民事再生をした企業さんのモニタリング、合併、廃業までのお手伝い…。本当に幅広く勉強させていただきました。

【編集部】
今お聞きしていて幅広いなと思いました。立ち上げからそれこそ上場、廃業と、スタートから終わりまでですね。それだけご経験されると、ご自身が開業される時はどちらかと言うと不安よりやってやるぜという気持ちになるのではないでしょうか?

【酒井氏】
やはり自分では経験したことがないので不安もありました。全般ができるということが強みじゃないとわかっていたのでその中でどうしていくかという不安はとてもありました。

【編集部】
もともと地元の商店街への恩返しとお父様の経験から、起業家のサポートをしたいという思いも強くなったのでしょうか?

【酒井氏】
そうですね。18歳のときにはすでに中小企業のためにやるという気持ちになっていました。上場する勉強もしましたが、それはすべて中小企業の社長のためでした。

廃業率を下げ、社長だけでなく家族を守りたい

【編集部】
酒井先生はお話をしていると「なぜ自分が今この仕事をしているのか」ということが明確に思えます。1つ、廃業率を下げたいという思いがあると思いますが、その背景をお伺いしてもいいですか?

【酒井氏】
先ほどお話しした父の廃業なのですが、生まれた前の話なので実際どんな話かは知りませんでした。中学生くらいの時に廃業理由が裏書手形ということを聞いて、裏書手形について学んだのが高校の時でした。普通の人はそれを知らないで廃業するのですよね。廃業したら、自転車操業が当たり前で、私が生まれる前に一家心中しようかとなったことを聞いて、不幸が待っていることだと感じました。

すぐ立ち直ってやり直す方もいらっしゃいますが、自分1人の問題ではなくなります。私は結構荒んだ家庭で育ったと思うので。そういうのをなくしたいと思いました。会社の社長だけではなくその家族も守りたいというのが、廃業させたくない理由の一番ですね。

【編集部】
やはりご自身の経験からくる事はとても強いと思います。実際起業家の方で潰れていってしまう方も多いですが、その中で酒井先生がお伝えしている事はなんですか?

【酒井氏】
売り上げを上げるのは社長の仕事なのでやっていただきますが、経理ができなくてもいいです。だけどお金の流れだけは知っておきましょうと言っています。お金がずっとあるわけではないので、お金の流れを知ることによって感覚的にあるかないかがわかる。増えるかどうかもわかるので、流れをお伝えしています。

【編集部】
年間で20回以上のセミナーをやっていらっしゃり、それがまた連鎖的にここでもやってください、ここでもやってくださいとなっていますね。どうしてそんなに呼ばれるんでしょうか?

セミナーでは、主催者と密になるのがポイント

【酒井氏】
私はセミナーでほぼ税金の話はしません。開業するまでセミナーはやったことがなかったので、やりながら学んでいったのですが、まず1つは女性の税理士で子供が小さくて独立している例がなかったですね。自分の強みを打ち出したということが大きいです。もう一つは、セミナーに来る方が何に悩んでいるのかということを考えながら中身を変え、なおかつ、主催者の方と密になるということも大切です。主催者の方と密になったことによってその方のお知り合いからのご紹介をもらえることもありました。また、やればいいと言うことではなく、伝える事とフォローアップは参加者だけでなく皆さんにやるところですね。

【編集部】
主催者の方と仲良くなるのはとても大事だと思います。実際に僕の偏見かもしれませんが、士業の先生はコミュニケーションが下手な方が多いイメージがあります。酒井先生が主催者の方と仲良くなるために意識的にやっていることはありますか?

【酒井氏】
普通のことです。共通点を探すことです。私も人見知りタイプなので、相手から話していただければ話せるのですが、自分からいけません。例えばセミナーの参加者に自分から「こんにちは」とかいけません。ずっと1番前で座って待っているタイプで、名刺交換してくださいと言われたらするタイプです。

【編集部】
1人で待っている姿はお高くとまっているように見える気がします。

【酒井氏】
心はすごく行きたいのですが会話が見つからないんですね。気をつける事は本当に共通点を見つけることです。特に1番良かったのは子供がいることによって皆さんが興味を持ってくださることです。子供がいるのに事務所を開くということです。

仕事とママ業はメリハリが大事

【編集部】
今酒井先生は3人のママをやっていらっしゃいますが、お仕事の時間とママ業の両立はどのようにされていますか?

【酒井氏】
普段は9時から夕方6時までは仕事の時間で、保育園や小学校に子供預けているので基本は邪魔されずに仕事をしています。そして家には仕事を持ち帰らないようにしています。家で仕事をしてしまうと、絶対に「ママこっちを見て」と言われてしまうので、基本的には持ち帰りません。どうしても持ち帰ったとしてもブログを書くとかメルマガを打つとか、子供たちが寝た後にパソコン一個でできる作業だけにしているので、家にいる時間はママです。みんなが出て行ったらお仕事です。この形は考えてやっています。繁忙期になると全員を連れて税務署に行ったりします。

【編集部】
ではメリハリをつけてやっていらっしゃるのですね。家に帰ったらひとりで出来る仕事くらいしかやらないんですね。

【酒井氏】
お客様の情報を持ち出す事はないので、基本的には自分1人の仕事です。

【編集部】
実際に今事務所で働いているスタッフさんにもママさんが多いのでしょうか?

【酒井氏】
全員ママです。

【編集部】
そうなると事務所内でのお話もお子さんについてになることが多いのでしょうか?

【酒井氏】
うちのスタッフさんはみんな優秀で、仕事中は仕事、ランチタイムだけ和気あいあいと子供の話をしている感じです。

事務所スタッフの働きやすさを重視

【編集部】
代表が酒井先生のようにママをやっている方だと、お子さんを持っている方にとってはとても働きやすい環境なのではないかと思います。

【酒井氏】
それを心がけています。出社が10時で、仕事が終われば帰っていい感じです。ただし事務所で対応しなければいけない電話もあったりするので、誰かしら午後までいると嬉しいなというところではありますが、原則は仕事が終われば良いですね。子供が熱を出したりしたらすぐに帰って良いです。将来的にも変える事はないと思います。

【編集部】
事務所の場所も、駅近から遠いところに移転されましたが、その背景にお子さんのこともあるのでしょうか?

【酒井氏】
子供の学校と保育園の近くに事務所を移しました。私たちの仕事は基本的に事務所内で作業か、お客様のところに行くことがほとんどです。お客様が来ることが少ないので、立地にあまりこだわりませんでした。子供が熱を出したり帰ってくるのが早くても、会社のほうに帰ってくることができるので、自分がギリギリまで仕事ができる環境にしました。

【編集部】
お客様も大事ですが身近な人をより重視したということでしょうか?

【酒井氏】
お客様には影響がない部分として捉えているのでちょっと違いますね。

【編集部】
そういった形で税理士のお仕事とママとしての業務をうまく両立していらっしゃるのですね。ではあまりストレスもないのですか?

【酒井氏】
そうですね。

【編集部】
代表の方がそういうことに理解がある人だと他の方も働きやすいですね。

【酒井氏】
そう思っていただけたら嬉しいですね

税理士独立当初はブログと手紙で仕事を増やす

【編集部】
独立される時はお客さんがいない状態からスタートしたと思いますが、その時の営業はどうしましたか?

【酒井氏】
営業の仕方も知らず、子供も保育園に入れなくて子連れだったので、何をしようかなと思って始めたのがブログでした。1番最初のお客様はブログからのお問い合わせで、ママさんでした。後は基本が紹介だったので、やったと言えば事務所を開設しましたのお手紙を配りました。お手紙を100枚か200枚印刷して郵送したくらいで、開業したの?と紹介をいただいたり。

【編集部】
お手紙を撒いたくらいですか?

【酒井氏】
そうですね。後は私はここにいるよ、とブログを書いたことくらいです。

 【編集部】
お客さんの層はどんなものでしたか?

【酒井氏】
同世代の開業した方や、開業して2.3年目の方でした。1年目はそんなにはいっぱい来ませんでしたね。

【編集部】
その当時と今の営業の仕方はどう違いますか?

【酒井氏】
紹介してくださいという言葉を言わなくなりました。何かあればうちでお願いしますという言葉も言わなくなりました。営業しなくなったというのが実際ですね。今はご紹介だけです。

【編集部】
何が変わったのでしょうか?

【酒井氏】
余裕ですかね。自分は開業した時から事業計画を立てていて、今年は何件の顧問先を増やすとか事務所移転するとか、そのためにいくら必要だとか。私の場合は大量のお客様をいっぱい処理しようとは思っていません。決めたお客様たちを大切にしようというのが1番でした。1社紹介をいただいてその会社を手厚くサポートすれば他のお客様を紹介していただけるんですね。実績を積んだというのがあるのかもしれません。

【編集部】
お客さんを獲得するために価格を低くして大量に顧客獲得する方もいらっしゃいます。そういうタイプではないんですね。お一人お一人丁寧にお仕事をされると。

【酒井氏】
価格を比較するのは基本的にお断りするようにしています。どうしても払えないという方はいますが、顧問料の最低ラインを決めていて、それ以上は絶対にディスカウントしないですし、そこからしかお話はしません。下手なサービスは無いようにしています。

採用の重要事項はマインド

【編集部】
自分にとってもお客様に対しても満足のいくサービスをすることによってそれが次の紹介につながっていっているということですね。少しお話が変わりますが、事務所は酒井先生を入れて3名いらっしゃいますよね。僕もお伺いした時に女性の方が3人いてなんと花園なんだと思いました。酒井先生が採用にあたって注意されている事はありますか?

【酒井氏】
経験やスキル、資格よりも、マインドも大切にしています。できることとできないことを自分でわかっていらっしゃる方を事務所に入れていきたいと思っています。できなくてもいいんですと話はしています。そこで素直になってくださる方を採用しようと思っています。

【編集部】
今採用はなかなか厳しい時代になっています。ハローワークに出しても人が来ないこともあります。でも小さい事務所にとっては人材募集にかけるお金もそこまであるわけではありません。その中で来てもらったスタッフさんが先生の事務所で働き続けてもらうために工夫されている事はありますか?

【酒井氏】
働きにくくならないように時間の拘束もなるべくなくしているところが1つと、女性なので仕事のスキルアップももちろんですがプライベートも充実できるようにちょっとおいしいものを食べてもらったりしています。後は自由にしてもらうというのを基本にしています。アロマは好きな香りを炊いてもらっていいし、女性が暮らしやすい形にしています。

【編集部】
確かにいい香りがしました。そういったところも工夫なんですね。僕も酒井 N酒井 で見かけたのですが、忘年会もとてもおしゃれなところでワインと共に開催されており、素敵だなぁと思いました。

【酒井氏】
子供がいるとできない時間なので、味だけではなくて雰囲気や時間としての提供を考えて昼に開催しています。

【編集部】
今後人増やしていく上でこんな人に来てもらいたいというのはありますか?

【酒井氏】
これから税務でも会計でも覚えていきたい、挑戦したい気持ちがある方が来てくれたらいいです。

【編集部】
税理士の先生は募集されていますか?

【酒井氏】
今のところはないですけど将来的には来ていただきたいと考えています。自分の引退まで考えているので。

本日は酒井税理士事務所代表、酒井麻子先生にお越しいただきました。ありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました