社労士の考える「人間力」で勝つ方法

インタビュー

通常の社労士業だけでなく、経営者と労働者を救う労働法を広めるために様々なセミナー活動を行っている大場貴之氏に、ビジネスにおける人間力の極意を伺いました。

サラリーマンから社労士への独立の理由

【編集部】 
こんにちは。本日はミツル社会保険労務士事務所代表、大場貴之先生にお越しいただきました。大場先生は各々が持ち味を生かして組織に貢献できる職場づくりを支援したいという思いから、グループワークが主体のセミナー、「持ち味ワークショップ」を実施されています。

【大場氏】
私は平成26年の社会保険労務士試験に合格しました。実は社会保険労務士試験の勉強を始めた最初のきっかけは、単純に国家資格が欲しいという思いでした。その中でなぜ社労士を選んだかと言うと、大学時代に労働経済学を専攻していて、大学の時に専攻していたものとつながりがあるなと思ったからです。合格してから即開業と考えていたわけではなく、合格後もしばらくは当時の仕事を続けておりました。仕事を続けながら、他の先輩社労士などが集まる勉強会などに参加し、多くの先輩社労士の皆様と交流を深めていました。そんな中、先輩社労士からお声掛け頂き、事務所をお手伝いさせていただくことになりました。その後、一昨年の9月に独立開業いたしました。
【編集部】
サラリーマンから社労士への転身を決めたのはなぜですか?
【大場氏】
私は社労士になる前の20年間、社労士事務所でもなく、人事総務でもなく、普通のサラリーマンの職務についておりました。先ほど労働経済学を専攻したと言いましたが、社労士試験の勉強は、全く知らないことばかりでした。新しい知識を得て面白い反面、多くのサラリーマンも私と同じように労働法のことを知らないのでは、と思いました。そこで、得た知識を社労士として多くの人に伝えたいと思い、社労士になろうと決めました。

社労士経営には人脈作りが最重要

【編集部】
独立する際に大場先生が準備されたことはありますか?
【大場氏】
まずは異業種交流会などに参加して人脈を広げようと思いました。また、社労士事務所での実務経験も準備の一つです。そして、開業して何をしたいのかということを自分の中で確立させることも大切な準備だったと思います。
【編集部】
大場先生は人脈を作るのが大事とおっしゃいましたが何故でしょうか。どんな人脈がいいのでしょうか?
【大場氏】
最初はなりふり構わずいろいろな方と知り合いました。どういった方とつながればいいのかわからないので。最初は社労士の方の知り合いを多く作り、その後異業種交流会で他士業の先生方、経営者の方、会社員の方、将来起業を目指している方など、様々な方と会って自分の顔を知ってもらうことをしていました。
【編集部】
いろいろな方にお会いした結果どんなことが得られましたか?
【大場氏】
お話を聞くことで、お客様が社労士に対して何を求めているのかが、少しずつ見えてくるようになりました。
【編集部】
実際に開業されてからいろいろな方にお会いするようになって、でも生活のために売り上げを上げていかなければいけません。その辺の営業開拓はどうされていましたか?
【大場氏】
私は異業種交流会を使って多くの人脈を作って紹介をいただくことを目標にしていましたが、なかなか難しかったのが正直なところです。顧客獲得が一番苦労したところですね。
【編集部】
お客様を開拓していくのは皆さん苦労する道ですね。中には開業して初月からたくさんのお客さんを取れているカリスマのような方もいますが、極々僅かです。その中で大場先生はどのようにお客さんをつかんでいたんですか?
【大場氏】
正直申し上げますと最初のお客様は知り合いです。その次は知人の紹介。その後は異業種交流会で知り合った方の紹介でお仕事をいただくこともありました。交流会で出会った方からスポットでご相談をいただいたこともあります。

営業方法としてセミナー営業をしていきたい

【編集部】
営業の仕方にはいろいろな種類があります。お客さんを開拓していく上で、飛び込み営業、交流会、紹介、ウェブ集客、セミナー開催などです。大場先生は今何が一番多いですか?
【大場氏】
今は交流会が1番多いですね。将来的にはセミナー集客を多くしていきたいと思います。
【編集部】
どうしてですか?
【大場氏】
異業種交流会や飛び込み営業もそうですが、自分を求めている方が必ずしもいるとは限りません。しかしセミナーはそのテーマに興味を持っていらっしゃる方が集まります。もともと労務管理などに疑問や悩みを持たれている方々の前で講義をすることによって、私自身を知っていただければ、成約に結びつくこともあるのではないかと思います。
【編集部】
1つ気になっていたことがありまして、働いている方が労務のことをもっと知ったほうがいいとおっしゃっていましたが、もし知ったとしたらどんなふうに良くなると思いますか?僕も社労士ではないのであまり知識は深くありませんが…。
【大場氏】
これは私のサラリーマン時代の経験談ですが、例えば、仕事中だけでなく、通勤中でも補償されることや、健康保険の自己負担分は、月ごとに限度額があるということを知らない会社員は多いと思います。こういうことを会社からアナウンスすれば、社員さんはいい会社だと思うでしょう。
【編集部】
そういうのがあれば、大場先生本人は会社にロイヤリティーを感じるということですか?
【大場氏】
おっしゃる通りです。例えば、前勤めてた会社では育児休業給付は会社から出ると思っていて、申し訳ないからと育児休業の取得をためらう人がいました。でも、育児休業給付は国から出ることを知っていればもっと育児休業が取りやすくなりますし、それによって会社のロイヤリティーが高まります。そういう一つ一つの積み重ねが社員のモチベーションの向上につながります。
【編集部】
大場先生がやっていらっしゃる事は会社の従業員満足度(ES)が上がることに繋がるとも言えるんですね。
【大場氏】
そうなれば嬉しいです。
【編集部】
現時点では交流会が多いんですよね。それは開業されてから今まででどんな変化がありますか?
【大場氏】
最初はなりふり構わずいろんな人と会って名刺を配っていましたが、それだけでなくて自分を具体的に売り込むことをしないと成約には結びつかないと感じるようになりました。最初のうちは何もわからなかったので名前だけを知ってもらおうと思って一生懸命顔を出してやっていたのですが、セミナーをやるので来てくださいなど、自分のことを売り込まないと、逆に営業されて終わってしまいます。
【編集部】
大場先生は「持ち味ワークショップ」というのを開催していらっしゃいます。これを1つ社労士の中でブランディングされていますよね。これはどういったことをやっているんですか?
【大場氏】
これは社員がそれぞれ持っている持ち味を発見するためのものです。仕事をする上で必要とされている要素を76枚のカードにまとめていますので、それを選んでいく方式で自分の持ち味を発見していただき、さらに、4~5人のグループで、お互いの持ち味を発見してもらうというものです。自己理解と他者理解です。自分が気づかなかった自分の持ち味を他者から知ることによって喜びを感じることができます。それをお互いにやることで相手に対する理解や感謝が深まってチームワーク力を高め、人間関係の向上、離職率の低下につながることを目的としています。
【編集部】
そもそもこのワークショップをやろうと思ったきっかけはなんですか?
【大場氏】
実際に、私がこのワークショップを体験させていただき、会社員の時にこれをやっていたら職場への満足度が高まったのではと感じたのがきっかかです。
【編集部】
良いところに目を向けるよりかは欠けている部分に目が行きがちな社会的な風潮があると思います。良いところもあまり褒めたりしませんよね。そういったところに目を向けるような仕組みづくりに大場先生はフォーカスされているんですね。
【大場氏】
おっしゃる通りです。

独立2年目、セミナー講演に手応え

【編集部】
独立されて2年目に入っていますが、今までうまくいったこととやらかしてしまったことがあったらお聞きしたいです。
【大場氏】
うまくいったことは、セミナーや持ち味ワークショップに登壇させていただくことが複数回ありました。大変緊張したのですが、終了後に面白かったという声を頂戴したのがとてもうれしかったです。他には、スポットで年金相談のご依頼をいただいた際、年金を実務で扱ったことが無かったのですが、ご依頼をいただいてから一生懸命復習をしながら、最終的にお客様に回答することができたときはとても嬉しかったです。

人前で話す力を高めておくべき

【編集部】
プロとして関わることになりますからね。そういうのが日常茶飯事です。それを乗り越えて成長があるんですね。もしもう一度今の知識や経験を持った状態で再度会社員の頃に戻るとしたら、どんな準備をされますか?
【大場氏】
もっと人の前で話す能力を高めておきたかったです。私はもともと人前で話すことが苦手で、緊張してしまいます。何回かセミナーに登壇させていただく中で、経験が一番大事だと気付いたので、もっと多くの経験を積んでおけば良かったと思います。また、自分のブランディングを高めていくことをきちんとやっていけばよかったと思います。開業後、会社員の時には出会うことがなかったすごい先生方にたくさん出会いました。人の心を動かすような話をできる方がたくさんいらっしゃいまして、それができる経験と自信を磨いていたらもっとスピードアップできたかと思います。
【編集部】
それが今の課題になっているんですね。大場先生のこれからの目標やビジョンがあったら教えて下さい。
【大場氏】
先ほど少し申し上げましたが、労働法のことを知らない会社員の方や、労働法の解釈を間違ったまま運用することによって労働者の方から訴えられてしまう恐れがある経営者の方のために、「知る」ことで「損する」ことを無くすような新しいコンテンツを準備しています。難しい労働法や労働問題を分かりやすく伝えるセミナーをたくさんやっていきたいというのが今後しばらくの目標です。
【編集部】
具体的に年間で何回くらい講演したいですか?
【大場氏】
まずは月1ペースで、後半になったらもっとペースを上げてやっていきたいです。
【編集部】
年間で20回か30回くらいになりますね。最後に、記事をご覧になっている読者の方に向けて、開業したての先生やこれから開業する先生がいらっしゃいますので、学びや成長につながるメッセージをお願いします。
【大場氏】
これから開業される方、開業するにあたって改めて「なぜ社労士なのか」ということを自分のこれまでの人生を棚卸ししながら問い直していただきたいと思います。そのことによって社労士という仕事にプライドを持つことがとても大切です。社労士として開業してから、士業は人と人とのつながりで、人間力が求められることを痛感しました。その辺の観点からも自分のこれまでの人生をふりかえり、自らをブランディングして、自信を持って大きく飛躍していただきたいです。
【編集部】
ありがとうございます。本日はミツル社会保険労務士事務所代表の大場貴之先生にお越しいただきました。
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