行政書士とのビザ案件の提携で仕事を一気に増やした話

インタビュー

CVC会計グループの代表を務めながら、中国からのインバウンド・ミャンマーへのアウトバウンドなど士業の枠を超えマルチに活躍されている天野氏に、成功の秘訣を伺いました。

ワーキングホリデーを経験し、会計事務所独立へ

【編集部】 
本日はCVC会計グループ代表の天野正康先生にお越しいただきました。天野先生はCVC会計グループの代表を務めながらも、ボイストレーニング事業、アクア事業と、マルチにご活躍されています。ミャンマーへの進出支援もされていて、なんと現地で商売もされているということで、いろいろチャレンジなさっており、すごい方です。本日は全く士業っぽくない話を聞けるのではないかと思います。よろしくお願いします。まずはじめに、天野先生のご経歴や開業するに至ったきっかけなどをプロフィールとしてお伺いしてもよろしいでしょうか。
【天野氏】
会計業界のスタートは2000年です。最初は新日本監査法人に入り2年くらい勤めました。しかし、ふと蕎麦屋をやりたくなって、蕎麦への想いが止められなくなり、当時の戸隠村(現長野市)に履歴書を持って行き、「弟子にしてください!」と言いました。結局弟子の空きがなく戻ってきましたが、その後、ワーキングホリデーでカナダに行ったりと、フラフラしていました。そのあとは新宿にある会計事務所で2年半程サラリーマンとして働き、今から12年前に知り合いの税理士と一緒に3人で独立しました。スタッフも10名になり、数字的にはうまくいっていましたが、100%自分の想いでやりたいと思い、今から4年前にCVC会計を一人で開業しました。
【編集部】 
元々お勤めになっていた会計事務所があると思いますが、創業時お客さんをそちらから引っ張ってこれましたか?
【天野氏】
ほぼありません。5、6社は付いてきてくれましたが、それは元々自分のプライベートに近いところで来たクライアントです。
【編集部】 
ではほぼゼロの状態からスタートされたということですよね。創業時、営業の開拓はどのようにされていたのですか?
【天野氏】
最初は営業のネタがないので、異業種交流会なども行きましたが、最初の1年半はお客さんが増えるペースはすごく遅かったです。その後、ここ2年で一気に増えている感じです。

顧問数を一気に増やした方法とは

【天野氏】
国内のクライアントは4分の3くらいは中国人です。中国人が日本に会社を作って、その会計税務を担当しています。それらはすべて紹介ですね。ビザを扱う行政書士事務所の中国人スタッフとかが紹介してくれます。
【編集部】 
行政書士事務所の先生との提携はどのように作っていきますか?
【天野氏】
結構アタックしました。この一年くらい、東京、神奈川、埼玉、名古屋、大阪、兵庫など、行政書士事務所リストアップしてアポを取り、会いに行ったりしました。その際は、ビジネスライクに“税理士と提携します”と謳っている大きな事務所もあったのですが、そういった事務所は、年配の先生とか、あまりにもビジネスライクで好きになれなそうなので、訪問先からは外しました。“この人は会ったら面白そう”という先生や、“仕事を頼んだら面白そう”思える先生に会うようにしました。結局そういう人でないと関係が続かないので。
【編集部】
自分と相性が合わないと話すのも苦になってきますからね。あまり実績ではなく、その人の人柄を見てということですね。
【天野氏】
はい。その方が響きます。日頃から、ビジネスよりも人柄を見るスタンスでいるので、事務所で少し会っただけとか、ランチした程度でも、2、3年経ってひょっこり電話をしてくれたりします。ビジネスライクに付き合っている人とはそういったことはないと思います。
【編集部】
そもそも思い出してももらえませんね。何か思い出してもらうための印象づけなどはされていましたか?
【天野氏】
ないですね…。でも、例えば兵庫の小さな事務所の先生や自宅で開業している地方の行政書士の先生に会いに行くと、“なんでここまで来たんだろう!?”と向こうは逆に警戒するのですが、考えを話したりすると打ち解けることができます。

在日中国人案件で顧問増へ

【編集部】 
ちなみに何社くらいテレアポされたのですか?
【天野氏】
リストアップはかなりしましたが、テレアポはそんなにはしていません。一泊二日で地方に出張しても会えるのは4、5人なので、会ってもそのくらいです。
【編集部】
そこから今何社くらいと提携されているのですか?
【天野氏】
連絡をちょこちょこくれるのは10人程度です。本当に案件を紹介してくれる人となると、結局5人くらいです。
【編集部】 
でも10人と繋がりがあって、そのうちの半分がビジネス的に繋がっているというのはすごいと思います。
【天野氏】
会っている人はもっとたくさんいますが、結局私も名前を覚えていなかったり、ビジネスライクな付き合いになってしまったり。
【編集部】 
最初の1、2年でそういった関係性を作っていって、関係性を築き始めたらブーストがかかっていったということですね。すごくバリバリ成功している印象ですが、本業でうまくいっている秘訣はありますか?
【天野氏】
言うほどまだ成功していません。スタッフも何十人、クライアントも何百社となっていたら大きいことも言えるのですが、これからです。
それでも強いて言うとすれば一つ、先ほど話した中国の案件は大きいです。完全にインバウンドの流れに乗っています。私は以前、3人で事務所をやっていたときに、会計事務所以外にメディカルツーリズムの会社を興しました。中国人の富裕層を呼んで人間ドックを受けてもらうというものです。当時、大連に会社を作り、営業所を北京、上海、瀋陽、重慶、河北省などに作りました。中国人の社員とバイトを10人くらい雇い、実績としても結構受け入れを行なっていました。最後は、地震や尖閣諸島問題の影響で人が来なくなってしまい、結局やめてしまいましたが、その頃中国人とたくさんやりとりをしていましたし、フィーリング的にも私は中国人と馬が合います。そこがベースにあり、さらに最近、ビザの制度が変わり代表者の居住条件がなくなったりしたので、最近インバウンドが一気に増えました。そこで流れに乗れた感じです。ラッキーといえばラッキーです。
【編集部】 
それはやはり行政書士の先生などとの繋がりがあったからこそですよね。
【天野氏】
特にそこにいる中国人スタッフですね。
【編集部】 
中国人スタッフとのコミュニケーションの取り方はどうされていますか?
【天野氏】
彼らは日本で働いているので日本語が話せます。やはり私が中国語を話せた方が圧倒的に良いのですが、中国人と馬が合うというか、本当に中国人に好かれるタイプの日本人は少ないものです。一応、その点は私は大丈夫なので、安心して紹介してもらえています。日本にいる中国人が紹介してくれます。
【編集部】 
今は外国人の方、中国人の方がお客さんでは多いということですね。
【天野氏】
直近契約した15件のうち、14件が中国系企業でした。中国人は最初に人柄と実力を認めてくれたら、その後は細かいことは言わないし、だからこそこちらも、もっと良いアドバイスをしてあげようという気持ちになります。仕事をしていてとても気持ちが良いです。今月も、クライアントの中国人社長だけを集めて食事会をします。25人くらいで半年に一回くらいやっていて、日本人は私だけですが、中国人はパッと集まってくれるのです。中国人社長だと本当に友達になる感じです。そういうのがとても嬉しく、楽しいです。

仕事を通じて自分の人生をどうしたいかが一番大事

【編集部】
今後事務所を大きくしていく上でも、組織論は本質的に一緒だと思いますが、スタッフに継続してもらうために天野先生が意識的に取り組んでいることはありますか?
【天野氏】リクルートでも、「企業ありきではなく、仕事を通じて自分の人生をどうしたいかが一番大事」ということを伝えています。仕事を通じてどうしたいのか。ざっくり言えばお金持ちになりたいとか、海外旅行に行きたいとか、単純に家計の足しにしたいとか。あとはその人の年齢や立場によって考えも日々変わると思います。いずれにしても仕事を通じて実現したい人生をよく考えてもらいます。でも私も自分の夢や目標があるので、その重なる部分が多いから一緒に仕事をする、というスタンスでやっています。重なる部分が小さくなって辞めてしまうといったらショックだし、経営的にも痛いですが、ごまかして止めたところで本人が本当に幸せにはなりません。とにかく仕事を通じて自分の人生をどうしたいかを、特にそういう考えを持ったことがないパートさんにはよく言って考えてもらうようにしています。あなたにも目標がある、私にも夢がある、重なる部分があるから一緒にやりましょう、と。そういう方がスタッフも仕事に対して本当に意欲的になれるのです。本当の幸せを得られる。
【編集部】
内側から動機づけられるといいますか、それこそ「好きこそものの上手なれ」ですね。好きだからこそアイディアが出て来たり、そういうところにつながってきますね。実際に天野先生がお持ちの夢や目標を教えていただけますか?
【天野】
中国に関しては日本一の事務所にしたいですし、本気で音痴を治すボイトレ教室を作りたいです。この先1、2年で言えば、会計事務所ももっとクライアントを増やし、ボイストレーニングもあと2、3校増やして、もう一つくらい新しいビジネスもやりたいと思っています。

人としてあるべき姿を大切に

【編集部】 
中には開業したての方やこれから開業する方も見ていますし、開業して4,5年経っているけれどなかなか事務所がスケールしていかないという先生方もいらっしゃいますので、お願いします。
【天野氏】 私が経営をする上で気を付けていることが3つあります。一つはアジアです。このアジアの流れは乗らない手がありません。実際クライアントの四分の一くらいしか日系企業はありません。中国はこの2,3年で一気に大半を占めていますし、ミャンマーへのアウトバンドは、さらにそのインバウンドを上回るペースでクライアントが増えています。このアジアの流れは、好き嫌いではなく、絶対に乗らないといけないと思っています。もう一つはIT化です。よく言われるように、入力作業は付加価値がなくなっていくのでいかにコンサルをするかが大事です。今、業界的に見ると、入力の自動化にばかり焦点が行っていますが、年商数十億円、小さくても十億、二十億円の会社なら自動入力が当てはまるケースもあると思いますが、それ未満の中小企業が圧倒的に多いじゃないですか。ベンチャーですと。そういう会社は会計ソフトの自動の取り込み機能などはあまり当てはまりません。それよりも、毎月決まった資料を出してもらうとか、コンサルというか指導というか、その気にさせるというか、そういったことの方が圧倒的に大事です。当社の場合は、その入り口のコンサルの部分、毎月きちんと資料を出してもらうというところを私が全部やって、送られてきた資料は在宅のパートさんに送って入力に特化してもらっています。申告書は、大手でマネージャーまでやったパートナー税理士に任せています。彼は本当にプロの税理士なので、2~3時間あれば中小の申告書をチェックして、直して打ち出すところまでを一気にできます。私は入口のコンサルの部分と毎月の報告、入力はパートさん、申告書は本物の税理士、というのを徹底して分業しています。これをやると、ミャンマーとボイトレをやりながらでも、60件は担当できます。多分今後の社員も、一人で40件は担当できるはずです。会計業界は一般的には、一人の担当者が20件を持っていっぱいですが、そういうのも効率よく改善できると思っています。私はそういう形でIT化の流れに対抗するというか乗るというか、そこは気を付けています。
【編集部】 
分業制はすごく大切ですよね。一人一人が得意分野をやることによって、一人で60件見ることができるのですね。
【天野氏】
クラウドや自動読み込みの流れが強いですが、それにすごく違和感があって、少なくとも当社のクライアントにはそんなものが当てはまる会社はほぼないと思います。これでIT化の流れに乗れるのかと心配になります。
【編集部】
むしろ超アナログ、みたいなところですか。アナログはアナログで、人とのコミュニケーションなどいいところがありますからね。良し悪しがありますね。
【天野氏】
三つ目に気にしているのが、人として自然な方向に世の中がどんどんなっていくということです。戦後や昭和の時代は企業ありき、会社第一で来ていたのが、今はそういったことがだんだんなくなっていて、大手でもテレワークを始めたり、違法残業やブラック企業が話題になったりしています。このように、私は、人として自然な方向に行く大きな流れがあると思っています。中国人や歌の先生は特にそうなのですが、若い世代はメールなんか使いません。「お世話になります。○○です。」なんてやりません。出来上がった仕組みを守るには日本式の仕事スタイルはいいのですが、そのひずみが今たくさん出てきていると思います。当社のスタッフはみんな在宅で、子育てや親の面倒を見ながら仕事をしています。人として自然に、というと、基本家にいて、たまにオフィスに来るくらいがちょうどよく、しかもオフィスに来る時間もその日の状況や調子に応じてバラバラで、といった形のほうが自然だと思います。私も調子が悪い日は家でゆっくり寝ていたり、気分が乗らない時は昼間からカラオケに行ったり。どんどんそういう、人として自然な方向にいくと思います。私もマネジメントの仕方、採用の仕方において、人としての優先順位を意識しています。私の中で、仕事をする上で大事なことは「家族への愛情」です。とにかく家族。今、日本だと、一生懸命仕事をして疲れて、普段営業をたくさんしているのに、週末になると奥さんとの会話が成り立たない人がたくさんいます。そんなものはおかしい。まずは全力で家族で、奥さんも幸せ、子どもも幸せ、余力があったら次に会社の同僚に気を使うべきで、さらに余力があれば仕事です。この順番が自然だと思います。人として。
【編集部】
幸せになるために頑張っているはずなのに、身近なところを蔑ろにして外へ外へというのは逆に疲れてしまって本末転倒ですね。
【天野氏】
だからスタッフに対してモラハラ、セクハラ、鬱になるまで追い込むというのは考えられません。自分の子どもや好きな人をそんなに追い込まないですよね、絶対に。とにかく人としての順番が大事です。採用についても、能力よりも、人として好きになれるかどうかを重要な基準にしています。好きになれれば愛情も注げるので、とにかくその順番ですね。
【編集部】
素晴らしいお話をありがとうございました。本日はCVC会計グループ代表の天野正康先生にお越しいただきました。
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