SEから行政書士、そしてファンドを専門に 

インタビュー
システムエンジニアから行政書士へ転身を経た安田一登氏に、ファンドと呼ばれる組合契約についてお話を伺いました。

SEから行政書士開業に至るまでの経緯

【編集部】
本日は行政書士法人ジンテック代表の安田一登先生にお越しいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。まず、安田先生のプロフィールを伺いたいのですが、行政書士開業に至るまでの経歴やきっかけを教えていただけますか? 
【安田】
日本大学法学部卒業後、システムエンジニアを10年くらいやっていました。最終的にはプロジェクトリーダーやサブマネージャーをやっていましたが、サラリーマンに合わないということで、そこから勉強して行政書士試験を受けて受かって、今開業して6年目に入りました。
【編集部】
10年やっていらっしゃったのに全然違う業界に来られたということで、どんな思いがあったのかお聞きしたいです。
【安田】
僕が所属していた会社は、人を出してお金をいただくというお仕事でしたが、その中の一員としてやっていくのはなんか違うと思いました。基本的に自社におらずお客さんのところにずっといるとか、自分自身が目立ちたがり屋で協調性がないのであまりいろんな人と一緒にやっていくというのが向かないと思いました。
【編集部】
それで自分でできるような手に職をつけてやる仕事ということで行政書士にたどり着いたと言う事ですね。

【安田】
一応大学が法学部だったので資格は知っていましたし、大体何をするかも知っていましたので行政書士試験を受けました。
【編集部】
ちなみに開業される際には一度どこかの事務所で経験を積まれたりしましたか?それともSEをやめて開業されましたか? 

【安田】

SEをやめて試験に合格して即開業ですね。

【編集部】

最初ご不安なことなどあったと思いますが、開業時にはどんな準備をされましたか? 
【安田】
すみません。経歴の中で言っていませんでしたが、SEをやめて弁護士事務所で事務員をしていました。パートで弁護士事務所の事務員だったので、行政書士試験に合格した受かった時点でそのボスから「はい、開業しなさい」と言われました。なので準備も何もありませんでした。その事務所の中で机を借りてという形でしたのでそういう意味では恵まれていたと思います。しかしいわゆるノウハウのようなものはありませんでした。弁護士と行政書士ではやることが全然違いますし。

【編集部】

一角を借りてというのはとてもいいなと思います。と言うのはコピー機やネット環境も揃っているからです。1人で事務所を構えてとなると大変な経費になります。 

【安田】

それがなければ自宅で開業していたと思います。

行政書士界でも珍しいファンドとは?

【編集部】
そういうところが最初恵まれていたということですね。今安田先生はファンドに特化されています。ちなみに、ファンドの組成と運営サポートというのは、どういったことをされていますか? 

【安田】

まずファンドと呼ばれるものの多くは組合契約です。一般的に言われる契約と法律的には一緒です。ただそのボリュームが異なります。例えば、組合契約書で私が関わった中で1番長いもので37ページです。その中で金融商品取引法に引っかからないような決め方をしなければならないものが数々出てきます。それはすべて一揃い作るところまでを僕は組成と言う言い方をしています。もう一つ、運営のサポートと言うのは、ファンドが作ったところがほぼゼロのスタート地点です。ファンドは共同出資事業するためのスキームですからその箱の中に投資家を連れてくる。その方法もあります。そこで法律を守っていないとペナルティーをもらう可能性があります。お客さんにこういう事は言ってはいけません、こういう宣伝の仕方をするのはだめです、あとはお客さんの問い合わせに対しこう答えてはいけませんというものがあります。そういうことをサポートしていくというのが運営のサポートです。もう一つが、お金が集まりきり、それを投資していく時に、前職の経験でお願いをされることがあります。インターネット系のITベンチャーにいましたので。今投資するとなるとバイオ系のベンチャー以外はネットベンチャーです。となると、それまでの知識と行政書士としての知識で手伝ってくれと言われることがあります。それを含めて運営サポートの第2段階です。最終的にファンドの最終的な目的はって、投資して、儲かって投資先の企業の価値を高め、投資家に分配することです。しないといけません。分配をするまででいわゆるゴールです。そうなるといろんなことが出てきます。株式事務はどうやるのか、主幹事主管理証券会社がこんなことを言ってきた、などの話への対応を含めて、ベンチャー時代の経験が生きているのかなと思います。求められる場合はそこまでやらなければなりません。

【編集部】

そこまでを組成から運営サポートとしてやっていらっしゃるのですね。ここまでファンドをやられている方も少ないと思いますし、行政書士でそれをやっている人には僕も初めてお目にかかります。数ある行政書士の業務の中からなぜファンドを選ばれたのですか? 

【安田】

お客さんにファンドを作りたいんですけれどお願いできますかと聞かれたことがきっかけです。最初はインターネット上でキーワード検索をしていって、だいたいこんなものだとわかったら、お客さんの言っている条件に問題があるのかどうかということを金融商品取引法、施行令、施行規則施工記録というように調べていく。それでもわからなければ、証券六法という、大辞林2冊分くらいのものを買って、調べて、ということもしました。

【編集部】

とても大変ですね。行政書士は建設業や許認可、会社設立、相続などいろいろなことをやっていらっしゃる方がいますが、その中でファンドの組成や運営サポートというのは、市場的にそんなに大きくないのではないでしょうか。 

【安田】

額としては大きいのですが、求めている人数は相当少ないと思います。

【編集部】

でも逆にニッチなところにサービスを絞ったことによって、ポジショニングがされているということでしょうか。

【安田】

そうですね。意識してやったかは別として、自分が「これが専門だ」という打ち出し方をすべきだと気付かされましたし、お客様が持ってきてくれたファンドという業務も、競合があまりいない。それは凄く良いことだと僕は思いました。

安田氏が選ばれる理由とは!?

【編集部】
それでファンドをやるようになって、3年目という事ですね。今ファンドのお客様開拓はどのようにされていますか。 

【安田】

原則、他士業、同業からの紹介です。もしくは既存のお客さんからの紹介が9割位です。

【編集部】

ではウェブ集客など営業をこちらからかけるといったことはもうしていらっしゃらないのですね。 

【安田】

もともと営業職ではなかったので営業の仕方がいまだにわかっていません。なので戦略的にそういうことができずに今まできています。
【編集部】
今紹介が9割とおっしゃっていましたが、安田先生が選ばれる理由は何でしょうか? 

【安田】

まずは専門的な知識、あとは「ここから先は知りません」という言い方はしないことでしょうか。そういう安心感と、キャラクターだと思います。

【編集部】

キャラクターといいますと? 

【安田】

お酒が好きだったり、あまり悲観的な話をしないようにするとか、いつもアロハシャツを着ているとか。

【編集部】

今日も素敵なアロハシャツを着ていらっしゃいますが、いつもアロハシャツなんですか? 

【安田】

週に仕事が5日あるうち4日ぐらいはアロハシャツです。

【編集部】

8割じゃないですか。

【安田】
冬もトレーナーやパーカーを着ていますが、必ず前を開けられるもので、脱いだらアロハシャツです。

【編集部】

これは印象に残りますよね。名刺もアロハシャツを着ていらっしゃる写真です。 

【安田】

いい評価か悪い評価かは別としてリアクションは取れるので、ツッコミ待ちのボケとしては比較的成功しているのではないでしょうか。

【編集部】

印象づけがすごくうまくいって、選ばれ続けているということですね。他にもレアな認定を持っていらっしゃると伺いましたが…。 

【安田】

「企業のベンチャー投資促進税制の認定申請」というのがあります。税制なのですが、認定するのは経済産業大臣省です。現在日本でその認定をもらっているファンドは9つしかないのですが、そのうちの2つは僕が申請代理をしました。

【編集部】

すごいですね。そこも集まる理由の1つでしょうね。 

【安田】

それはかなりインパクトがあったようで、紹介者さんも、「かなりレアなやつを通してくれるから」と言ってくれます。自分で言うのではなくお客さんが言ってくれるというのは、楽だし、私の場合は自分から言うのは感じが悪いと思って聞かれないと言わないので。

【編集部】

飲み会行って「俺社長なんだよね」とか言うのは顰蹙を買いますからね。 

【安田】

「お仕事何されているんですか?」と聞かれて答えるのはいいと思います。「俺社長だけど」って言う人は合コンとかで無理ですよね(笑)

開業当初の業務について

【編集部】
ファンドの組成と運営サポートはこれまで3年くらいやっていらっしゃいますが、3年よりさらに前はどんなことをされていましたか? 

【安田】

株式会社の電子定款の認証代行や宅建業の更新講師、建設業の相談、あとは相続ですね。最初の一年半は異業種交流会に行っていましたし、その余波がありましたので、そのご紹介の中ではそういう業務が多かったです。

【編集部】

最初はできるものは全部やりますというような感じだったのですね。そのとき売り上げは良かったのですか? 

【安田】

利幅が薄かったです。どうしても競合が多いので、「ネットで調べたらこの値段だったんだけど」と言われてしまうと、開業当初差別化もなにもない中で、単価が割引という形で下がってしまいます。

【編集部】 

では最初は差別化を図れない中で、単価を下げることでお客さんが来やすい状況を作っていたということですね。 

【安田】

今でもそこは変わりませんが、愛想はよくしています。
【編集部】
確かにそうですよね最初異業種交流会などに行かれていたというお話でしたが、今はもうあまり行っていらっしゃらないのですか? 

【安田】

ほぼ行きません。大勢人がいるところがそもそも苦手なことと、営業活動がわからないことが理由で疲れてしまうからです。

オリジナルの名刺で印象を残す!

【編集部】
今まで6年間やって来られて、安田先生の一番の成功体験はどのようなものですか?こういう取り組みをしたらこういう成果が出たというお話など…。 

【安田】

名刺を変えたことは大きかったかもしれません。それまでは法人設立と言う形で名刺を持っていましたが、ファンドになってからの方が同業本業、他士業どちらからも紹介が増えました。わかりやすくなったと言うのもあると思いますし、僕が関わるファンド組成に関してはそんなに皆さん押し出していらっしゃらないので覚えてもらえる。後は名刺の写真のシャツが赤い。

【編集部】

それ以外にも名刺が赤と緑で構成されていたり、なかなか見ないデザインですよね。印象に残りやすいというか。 
【安田】
昔勤めていたベンチャー企業で今はもう潰れてしまったのですが、そこの元社長にお願いしてとりあえず覚えてもらえる名刺をと言うことで作っていただきました。これで7代目くらいです。

【編集部】

沖縄出身、上場企業の法務部など赤文字で強調されているところは、そういう方にお会いした時にすぐ目に止まるようにということですか? 

【安田】

覚えてもらってなんぼなので。若手の芸人さんと一緒で名前だけでも覚えていただければというところですね。
【編集部】
今でもそういうスピリットをお持ちだということですね。本当にこういうのは大事だと思います。今うまく行ったことをお聞きしたのですが、逆に失敗したことなどはありますか? 

【安田】

まずは最初の3ヶ月間お客さんが誰もいなかったことです。
【編集部】
その3ヶ月は何をされていましたか? 

【安田】

異業種交流会へ行って、お酒を飲んでいました。つながりがなく、ほぼゼロからのスタートだったので、とにかく覚えてもらおうというのが当初頑張っていたことです。お酒のせいで打ち合わせをすっぽかしたことは一度だけありますが…。
【編集部】
基本的にはお約束を守ってきたということですね。もし、今の経験や知識を持ったままで6年前の独立開業時に戻れるとしたら、どういった取り組みをしますか? 

【安田】

最初からファンドをやると思います。また、異業種交流会についてはもう少しほどほどにします。行く頻度を月に2、3回にしておくとか、飲み会も2時間で切り上げるとか。多い時は2日に一回くらい行っていましたので。当時流行っていただけで今はそんなには開催されていないのかもしれませんが。

【編集部】

今でも毎日どこかしらでは開催されていると思います。個人的にはあまりお仕事にはつながらないことが多いのかなという印象を持っています。 

【安田】

異業種交流会の手前が取れればいいんですよね。今だと合同会社とか、コスト低く作れるので、会社設立の業務は終わってしまっている人が異業種交流会には来ます。電子定款の作成などを仕事としてやっていると、すでにそこは終わってしまっているので、異業種交流会は効果的ではないかなと思います。ただ、会社はあるけれど許認可が欲しいということだと少し違ったのかもしれません。

【編集部】

創業支援や、開業してすぐだとお金に困る人が多いのでその支援、ということでしょうか。

【安田】

そうですね。
 

ファンドは有望な市場!未来は明るい!

【編集部】
ありがとうございます。今ファンドに力を入れていらっしゃいますが、安田先生の今後の目標を聞かせていただけますか? 

【安田】

今まで評価していただいているファンド組成関連にもっと特化して行きたいと思っています。可能であればサポート体制を、人員も含めて拡充していきたい、できればいいなと思っています。

【編集部】

私の知識不足なところもありますが、ファンドを扱う業界はどのように展開していくと思われていますか? 

【安田】

当面はこのままイケイケというか、ベンチャー投資も含めて今の一定のペースは維持していくと思います。今回の総選挙も自民党が勝ちましたし、このままいくと安倍首相が続投です。アベノミクスにファンドが絡んでいる部分がある以上、日経平均株価も15.6日連続で上がっている状況は、僕らにとってのお客さんには有望な市場であり、僕らの未来も明るいのではないかと思います。
【編集部】
最後に、記事をご覧になっている方に学びや成長につながるメッセージをいただけたらと思います。 

【安田】

まずはお客さんには愛想を良くしましょう、ということです。あとは、行政書士に限ったことではありませんが、他士業や同業の先輩に可愛がられるような存在であることが、困ったときに役に立ちます。もう1つは、戦略的な集客ができるといいのではないでしょうか。
【編集部】
戦略的な集客とは、具体的にどのようなことをしていけばいいのでしょうか。 

【安田】

僕は自分ができていないと思っているので、できたらいいですよね、というお話です。逆にそれを教えていただけたらぜひ採用したいです。

【編集部】

安田先生も学びを深めている途中ということですね。本日は行政書士法人ジンテック代表安田一登先生にお越しいただきました。どうもありがとうございました。 
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