社労士×○○でオンリーワンになれ!

インタビュー

非現実的な世界を提供する「ディズニー」と、超現実的な生活に即した「コンビニ」の両業界を経験した安紗弥香氏に、お客様に心から喜んでいただけるコミュニケーションの極意について、お話を伺いました。

「コンビニ社労士」と名乗るきっかけとは?

【編集部】 
本日は社会保険労務士法人プレミアパートナーズ兼こんくり株式会社代表取締役の安紗弥香さんにお越しいただきました。よろしくお願いします。
まずは、開業するところまでのご経歴を簡単にお聞きしてもよろしいですか。
【安】
もともとディズニーという業界におりまして、主に接客と人材育成を担当していました。その時に出会った上司の影響でコンビニエンスストア業界に転職し、これが「コンビニ社労士」と名乗るきっかけになっています。コンビニエンスストアチェーンでは主に加盟店オーナーさんの研修を長くやっていましたが、その研修の項目に労働基準法や労災保険法などの法律の講義があったので、「やるんだったらちゃんと勉強をして、どうせ勉強するなら結果も出したい」と思って、社労士の資格を取りました。開業をしたかったわけではなく、オーナーさんに対してお話をしっかりできるようになりたいと思っていただけなのですが、試験に合格してからお付き合いを始めた方々から「いつ独立するの?」と言われはじめ、だんだんその気になっていったというのが独立の経緯です。それに加えて、本当はコンビニエンスストアオーナーに対し、研修だけだと一部分のサポートしかできないので、もっと多角的に支援ができたらいいなと思ったことも独立の経緯です。
【編集部】 
そのように考えてからすぐに独立されたんですか?
【安】
いえ、3年くらいは引っ張りました。独立しようかなという気持ちにはなってきたものの、社労士の資格だけ持って独立しても完全な後発なので先輩たちに勝てないなと思いました。であれば、コンビニの経験と社労士をうまく融合できれば、本当にいろんな意味での支援につながるのではないかと思いました。調べてみるとコンビニオーナーへの支援は当時なかなかやっている人がおらず、「コンビニ社労士」を名乗る人もいないということがわかったので、それでいこうと思ったのが2013年でした。

実務経験なしで開業

【編集部】 
社労士事務所にお勤めされたことはなく独立されたと思いますが、実際開業されてみて、出だしはどうでしたか?
【安】
社労士事務所を経験していないので、社労士業務が何なのかということがあまりよく分かっていませんでした。どうやって営業すればいいのかもわからないし、お客様ができても何をするのか、契約はどうするのか、ということもわからないまま独立をしてしまいました。
【編集部】 
知識はあっても実務は違いますよね。未経験の中でどのように業務をこなしていったのですか?
【安】
先輩社労士に聞いたり、お客様に修正していただいたりしながらです。二番目にできたお客様が顧問契約だったのですが、顧問契約の契約書を作るにあたって、見よう見まねで作ったものの製本しないまま送ってしまいました。そうしたらお客様から返ってきたのが製本されたものだったので、「こうやってやるんだ。」とそこで勉強させていただきました。いろんな人から学びながら少しずつお客様が増えていったという感じですね。
【編集部】 
実務はお客さんが増えていったらそれに合わせて聞いたり学んだりしてやっていくしかないと思いますが、お客さんがいなければ何も始まらないという中で、どのようにお客さんを増やしていったのですか?
【安】
試験に合格したのが2010年なのですが、実は開業前の2011年からブログを始めたんです。もともとは社労士試験のポッドキャストに登録していたので、その宣伝ブログだったのですが、気が付いたら自分の仕事観や、展望を書くようになりました。そんなことをしていたら読者さんが700人くらいになりまして、一緒にブログをやっていた方がお客さんを紹介してくださったり、話をしたいと言っていただいてそこからお仕事につながったりしました。なので、基本的にはブログが最初でした。
【編集部】 
開業前から書かれていたんですね。そこからお客さんが入ってきてくれるなどは考えず、書きたいことを書かれていたんですね。それが実を結んだと。
【安】
毎日更新だけを考えてやっていました。あとは交流会に参加するというのはやっていました。ブログだけではなくて、リアルの出会いも大切にしたいなと思いまして。
【編集部】 
徐々にお客さんが増えて軌道に乗ってきたのですね。2013年に社労士事務所を開業されたあと、2014年に社労士法人を立ち上げられたと思うのですが、これはどういった経緯でしょうか?
【安】
2011年に始めたブログで出会った方がパートナーとして今一緒にいるのですが、彼女から法人をやりたいと言われました。当時社労士法人は一人法人での設立ができなかったので、二人以上の社会保険労務士が必要ということで私に声をかけてもらいました。そのとき、社会保険労務士という資格をもう一度ちゃんと使ってやってみたいなと思っていた時だったので、少し考えはしたものの「じゃあ一緒にやってみよう」と決めて立ち上げたのが今の法人です。
【編集部】 
ここで社労士業務を行いながら、そのあと2017年にはこんくり株式会社という会社を設立されていますが、こちらではどのようなことをされているのですか?
【安】
こんくりでは、私が2013年に独立開業したOffice38という個人屋号でやっていたことから社労士業務を抜いた業務をやっています。主にセミナーの企画や講師、研修、あとはコンビニエンスストアの人の支援ですね。そこを中心にやっております。

目の前にいる方がどうやったら喜んでくれるのだろうかということを常に考える

【編集部】
過去の経験を活かしつつ事業展開されていらっしゃると思いますが、ディズニーやコンビニの経験で今に生きていることにはどんなことがありますか?
【安】
一番は「チームワーク」と「コミュニケーション」です。非常にどちらも幅広い概念なのですが、特にディズニーでは「チームの中の自分」に与えられた役割をしっかりとやる、ということを求められていたので、一人でやるのではなく、何人かでやるんだという意識を持って今も仕事をさせてもらえているところが大きいと思います。「コミュニケーション」についても、意味は幅広いのですが、単純に会話をするということではなく、目の前にいる方がどうやったら喜んでくれるのだろうかということを常に考えながら話を聴いたり、時には話をしたりすることが今にも生きています。
【編集部】
安さんはものすごくお話もお上手ですし、コミュニケーションも素晴らしいので、話している僕が気持ちよくなってしまうような感じがします。実際にお客さんと相対したときに、心掛けていることはありますか?
【安】
まずは表情です。
【編集部】
音声や文章だとなかなか伝わりませんが、とても笑顔ですもんね。
【安】
多分自分から笑顔を取ったら何も残らないんじゃないかと思うくらいです。これもディズニーに鍛えてもらったなというところはありますね。それだけで安心していただけると感じます。あとは、相手が話をしているときはしっかり聞くというのもあります。聞きすぎて「受け止めすぎ」とたまに怒られることもありますが、話を聞いているのも身になるし楽しいですし、そこからご支援のヒントが見つかるかもしれないので、真剣に聞いてしまします。
【編集部】
お役に立ちたいという思いからコミュニケーションされているということですね。こんなコミュニケーションをとったらうまくいった、などの経験は過去にありますか?
【安】
相手が喜んで話をしているときは一緒に喜びます。「こういうことができて」「お客様に喜んでもらえて」という話を向こうの社長さんがすると、「やったー」とか、一緒に喜びます。もちろんガッツポーズをして引かれる方もいらっしゃるので人は選びます。対応の仕方は変えていきますが、一緒に喜べる人とはとことん喜んじゃいます。
【編集部】
それはすごく嬉しいですね。今とてもコミュニケーションがお得意だとお見受けしますが、社会人になりたての時は人から怖がられていてコミュニケーションが取りづらいと言われていたとお聞きしました。そこからどうやって今の安さんのようになっていったのかというプロセスやきっかけが気になります。
【安】
自分が今担っている役割にこだわりすぎると「演じてしまう」とか、「良く見せよう」という心理が働いてしまうと思うんです。私がディズニーに居た時に、責任のある立場になったのですが、管理者としてアルバイトや部下に仕事をお願いするのが基本のスタンスだと思っていました。だから「Aさん、○○で××をしてきてください。」というのをただ言って、終わったら「終わりましたか?」みたいな。フォローが必要だったらフォローするとか。そういうものだと思っていたのでだんだん人が離れていってしまいました。「なんか話しづらい」と言われることもありました。そう言ってくださる方はまだいいのですが、基本的に無言でなんとなく距離を置いていかれるので、おかしいなと思っていた時に、当時の店長からいきなりお店の外に呼び出されて、「あなたには華がない。」と言われ、「華ってなんだろう」と落ち込みながら1週間考えました。
同期の子が責任ある立場でもすごく人から好かれているのを見て、なぜこんなに違うのだろうかと思うと、ちょっとした雑談も楽しんでいる。雑談を通してそれぞれの部下に対する信頼をうまく出している子だったんです。「これなんだ!」と思ったのですが、その子はそれが素だったんですね。自分を素直に出している子で、それがすごく好かれていたので、自分もあまり立場や役割にこだわらず素を出して、それでいいと言ってくれる人がいればいいや、と吹っ切れました。吹っ切れてみたら意外とうまくいきました。そうは言っても急に変えて行くのは難しかったですね。半年くらいかかりました。少しずつ、それまで離れていった人とも雑談ができるようになりましたね。周りの人の話に少しずつ入っていって、さっきの『やったー』じゃないですけど、素直に反応するようにしました。心の中にやったーという思いがあっても、今までは秘めていたのですが、それを全面に出すようにしてみたら、すごく喜んでもらえました。
【編集部】
感情をさらけ出す、素を出すということを、いきなりできるかはわかりませんが心がけてちょっとずつやっていったということなんですかね。今はむしろ喜怒哀楽の表現が豊かなのかなという風に見えてしまいますが、過去は少し違ったんですね。
【安】
もともとはポーカーフェイスのような感じでした。
【編集部】
そうだったんですね。今も組織としてやられていらっしゃると思うので、チーム内、社内のコミュニケーションも、お客様とのコミュニケーションも、同じですもんね、人間社会含めて。どんなことに気をつけていらっしゃるんですか?
【安】
自分自身を変えていないですね。どういう方にお会いしても。なので、常に素というか、思っていることを素直に言っている、又は聞いているだけなのですが、それで喜んでくださっているうちは大丈夫なのかなーと。
【編集部】
ある種、相性の合わないお客さんと一緒にやっていくのはお互いにあまり幸せなことではないかもしれないと思っているのですが、素を出して相性がいいなと思っていただける方とお付き合いをしつつ、そうでなかったらもうしょうがないよね、という考え方なのでしょ
うか。
【安】
そうですね。たたでさえ社労士はいろんな人が中にいるわけで、特に東京近辺ではたくさんいるわけじゃないですか。であれば、合う人に出会っていただける方がその方にとっても幸せかなと思いますし。
【編集部】
顧問になったりすると、定期的に会うことになりますもんね。
【安】
お付き合いしていく方って、自然と波長の合う方に絞られていく気がします。やはり明るくてガハガハ笑う方とすごく話が合います。

法人化のメリットとは!?

【編集部】
組織化されて、個人の経験が改めて役に立っていることもありますよね。2014年に法人化されたということですが、法人のメリットや、反対に課題はございますか?
【安】
まず法人を名乗るだけあって、活動をしっかりやっていくと、企業規模の大きいお客様や老舗の企業のお客様など、個人でやっていた時とは違うお客様との付き合いが増えてきます。これは法人のメリットかと思います。
【編集部】
信用というものが、規模の大きいお客さんを惹きつけるということですかね。
【安】
そうだと思います。同じように法人を作ってやっている同業の知り合いに聞いても同じように言っています。もちろん、組織化しやすい、組織として認めてもらいやすいということもメリットとしてあります。同時にその組織の体制をしっかりと作っていかないと、法人と名乗っていても、いざそういうお客様がいらっしゃったときに、うまく対応できなくなってしまうことがあると実感したことがあります。そういう意味では、ただ法人を名乗るだけではなく、意識や理念をしっかり持って進めていくようにしなければ難しいのかなと思います。やはり実態と周りからの期待にギャップが生まれやすくなるのは一つのデメリットであると思いますが、逆にチャンスだとも思います。
【編集部】
今組織化されて、社内コミュニケーションという面で心がけていることはありますか?先ほどのお話と似てくると思いますが、組織づくりとして、気をつけていることはありますか?
【安】
私の性格から来ることかもしれませんが、楽しく仕事をしてもらいたいというのが一番にあります。組織づくりの本当の根幹の部分はパートナーの方が本当に長けていて、そこは感謝です。私は実際に働く現場で、みんなが明るく、この仕事を選んでよかったな、うちに入ってよかったなと思ってもらうための雰囲気づくりを心がけています。そうすることでちょっとした話に花が咲いてみんなが笑顔になってくれる。そういうことを私はやった方がいいんだろうなと。
【編集部】
うまいことパートナーさんとも役割分担をされているんですね。
【安】
私自身も独立して数年ですし、相手もそうではあるのですが、今後はもう少し役割分担をしていくことが大事だと思っています。
【編集部】
やはりチームで仕事をすることで、1+1が3にも4にもなるということがより大きな法人化のメリットになっていくんでしょうね。
【安】
やり方によりますが、本当に1+1が3にも4にもなりますね。
【編集部】
1+1が0.5になってしまう人もいますけどね。
【安】
そうですね。まぁ、一時期0.5とか0.25とかになっても、また1や1以上になるときがある、というような関係を作ることができれば良くなっていくのかなとは思います。
【編集部】
最後にこのインタビューを聞かれているこれから受験される方、開業されてより伸ばしていくために良い情報を求めている方に向けて、メッセージをお願いします。
【安】
私が独立したのが2013年。社労士資格者は全国で4万人くらいいる。たくさん人のいる業界です。そういうところで、自分の過去の経験を捨てて資格を取ろう、開業しようという方も多いですが、勿体無いと思います。自分の今までの経験、私であればディズニーとコンビニですが、そういった経験をフルに活かして、さらに資格という手段をうまく結びつけることでいろんなお客様が幸せになっていくと私も実感できています。これから資格を取ろう、開業しようとされている方は、自分の今までの経験が、取ろうとしている資格にどんな風に活かせるんだろうと思いを馳せながら、勉強されたり開業準備されたりするといいのかなと思います。
【編集部】
本日はありがとうございました。
タイトルとURLをコピーしました