税理士さんのための 弁護士との提携の仕方 【弁護士:原哲男】

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【第2回】弁護士と税理士のつながりの重要性について 弁護士40年の経験から語ってもらいました(全2回)

 
 
 
労災問題、メンタルヘルスに関する講演を多数行っている原哲男氏。70年代から一般民事、家事、商事、刑事事件など幅広く扱ってきた弁護士経験が、これから独立して売り出していこうという若い税理士さんに必ず役に立つはず。護士歴40年の原さんが考える、弁護士と税理士の関係とは。今回は、税理士と弁護士との提携の仕方とメリットについて聞いた。
 
――税理士と弁護士との提携の仕方には、どのような方法があるでしょうか?
 
原:基本的にはきちんとした約束ごとを交わしたうえで、がっちり協力するということです。できれば、約束ごとは書面にしておいたほうがよいと思います。
 
双方ともに金銭のやり取りをしないとするケースと、一方のみが顧問料として支払う方法があるでしょう。そのどちらが良いかについては何とも言えません。私の場合には、横浜の税理士さんからは月額の顧問料をいただいており、逆に銀座の税理士さんには、月額の顧問料をお支払いしていました。
 
銀座の税理士さんには私個人の確定申告の作業をお願いしていたことや、私の事務所に持ち込まれる案件に関連した税務問題について、すべて相談に乗ってもらっていたということもあり顧問料をお支払しています。
 
――提携にあたって大切なことは何でしょうか?
 
原:それは、いったんお付き合いすると決めたら、徹底的に信用して深いお付き合いをすることだと思います。それこそ、互いの事務所の忘年会、新人歓迎会などに参加しあうなどといった配慮や、たまには家族ぐるみで旅行に出かけるなどの配慮も大切でしょう。
 
――では、税理士と弁護士のいずれかが顧問料を支払うとして、その金額はいくらくらいが妥当なのでしょうか?
 
原:顧問料や手数料などについては、以前は日本弁護士連合会(日弁連)で料金表を定めており、弁護士はみなその料金表の基準に従っていたのですが、独占禁止法との関係で統一料金を定めることはまずいと言われて撤廃されてしまいました。
 
ただ、現在でも大半の弁護士はその時の基準を目安に料金を提示していると思います。顧問料としては、対個人の場合には1か月あたり1万円から3万円、法人の場合なら3万円から10万円というあたりでしょうか。税理士さんとの関係でも、この辺りの相場を基準に月額2万円から7万円くらいの間で取り決めていることが多いようです。
 
――案件の処理を弁護士に依頼した場合の料金はおよそいくらくらいなのでしょうか?
 
原:具体的な事件、すなわち示談交渉や訴訟への対応を要する場合には、当然ながら別途の料金体系になります。訴訟などのようにある程度の長期間を要する場合には、事件の着手時に着手金、終了時にそれなりの成果が上がった場合には報酬金という2本立てになります。
 
契約書の作成など単発物の場合には1回限りの手数料をお支払いいただくことになります。このような仕組みはどこの事務所でも共通です。相談料は、1回1時間あたり1万円というのが相場でしょうが、提携関係がある税理士さんの関与先との相談については無料ということが多いでしょう。
 
――気をつけるべき点はありますか?
 
原:互いに尊敬し合う、しかし完全には信用しないという点に尽きるでしょうか。信用しないといっても、人間的にという意味ではなく、その専門知識から出てくる、具体的案件ごとの意見についてという意味です。弁護士も税理士も、時には勘違いとか勉強不足のせいで誤った回答をしてしまうことがあるからです。大事な案件の場合には、その意見をうのみにせずに、再チェックしてみる必要があるのです。
 
――提携をしていた税理士と弁護士との間でトラブルが発生してしまった場合にはどうしたらよいのでしょうか?
 
原:親しくなり過ぎるとどうしても超えてはならない一線を越えてしまうことがあります。それこそ夫婦関係と一緒でしょう。それに、金銭が絡んでくることもしばしばであり、今まで蜜月のような関係であっただけに、トラブルに発展してしまうと大きなもめごとになってしまう場合が少なくありません。
 
トラブルが起きてしまったらまず二人でじっくり話し合うことが大切です。それでもうまく解決できないようなら、だれか中に入ってくれそうな第三者にあっせんを依頼するとよいでしょう。第三者というのは、先輩の弁護士や税理士がふさわしいでしょう。
 
――弁護士を相手にすることは厳しいでしょうね?
 
原:最後は裁判所を利用して、司法の場で解決する他ないのですが、その前に、各地の弁護士会に設けられている紛議調停制度というものを利用する手もあります。これは無料で利用することができます。また、これほどまでにもめてしまった場合には、私でよければご連絡ください。何回かこの種のトラブルを中に入って解決した経験がありますので、何らかのお力になれるかもしれません。
 
――若手の税理士さんに向けてメッセージをお願いします。
 
 
原:弁護士も税理士さんも、依頼者や関与先の数が増えて、その結果事務所が発展していくことが最も大切だと思います。そのためには
 
1.専門知識に明るくなること
絶えず専門書に親しみ判例・先例に通じるように努め、研修の場にも積極的に参加すること
 
2.一生懸命にやっているという印象を持ってもらえるようにすること
急いで回答する。連絡を密にする。可能な限り文書の報告・提案を行う
 
3.しつこいと思われるほど気配りに務めること
 家族構成、健康状態、心配事などの情報をさりげなく収集し、忘れないようにメモをしておいて、こまめに連絡したり、贈り物をしたりする。他人を紹介してくれたら、必ず後日、そのお礼と結果報告をする。
 
――それ以外にどのような解決方法があるのでしょうか?
 
 
税理士さんにとって特に重要なことは、資産税(相続税・贈与税関係)について、まず最初にやるのかやらないのかをはっきり決めることが大切です。中途半端にやって、ミスをして、多額の賠償金を支払わされている例が少なくないです。やる場合には、通達・先例に必ず当たるような習慣を身に着けるとともに、相続や不動産などに詳しい弁護士と必ず連携しましょう。
 
・プロフィール
弁護士40年のメンタルケアスペシャリスト
 
原・白川法律事務所 所長:原 哲男(はら てつお)
 
1973年司法試験合格。1977年 原法律事務所開設。1999年東京弁護士会副会長。一般民事、家事、商事、刑事事件など幅広く取り扱ってきた。労働争議、団結権、労働組合法などから労働関係に関わるようになる。最近では、労災問題、特に安全配慮義務(健康配慮義務)、メンタルヘルスに関する講演を多数行っている。精神科医の夏目誠先生とふたり一組で講演することが多い。共著に『弁護士と学ぶ健康配慮義務~会社の健康リスク対策は万全か(フェスメック社)』がある。
 

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