成功するかしないかは失敗のとらえ方次第

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人脈ゼロ資金ゼロからのスタート

ー築城さんの独立するまでの経緯を簡単に教えてもらって良いですか?ー

築城)社労士の資格をとったのは10年前ですね。独立するといった思いもなく、何となくとったって感じですかね(笑)。東京の社労士法人に7年間勤め、大阪に戻ってくるのをきっかけに独立を決意しました。
2016年に開業して今で4年目、もうすぐ5年目に入ります。

東京での7年間で独立しようと思ったことは一度もありませんでしたね。本当に退職を決意したことをきっかけに、独立してやってみようと思ったんです。組織の中で働くのはもういいかなと思って。当時まで大阪で働いたことがなかったので人脈もゼロ。もちろん資金もゼロ!といった状態でした。

しかも、起業なんて全くわからない未知すぎる世界でした。あかんかったら会社に戻ればいいやって感じのスタートでしたね。

ー独立してからの4年間をふりかえって、どんな感じですか?ー

それはもう、良かったしかないですね。あるとすれば会社員時代は毎月安定したお給料を頂けるところくらい。本当に有り難いですよね。それ以外、独立しなきゃよかったとは全く思っていません。

独立して1年目の頃は収入がなくて、貯金がどんどん減っていき経済的にはかなり厳しかったですね。だけど不思議と辞めようとは思いませんでした。ちょっとずつ結果が見えてきていたし、どこかでプラスになるんだと思えた。あと、士業のお友達が少しずつ出来て紹介されだすと、さすがに辞めるとは言いずらいじゃないですか。

士業は人を育てるのが苦手

ーとてもポジティブなので想像できないですけど、独立当初で心配な事とかはなかったですか?ー

もちろん、心配はいろいろありました。たとえば労務に関しては7年間事務所でやってきているけど、実際に自分が手続きすると分からなかったり。あと、助成金もやったことがなかったので苦労しました。意外とやったことがないことに手を出すのはビクビクする方なんです。今でもそれは変わらないですよ。

お金以外で大変だったことは子育ての両立ですね。とにかく時間のやりくりが大変。でも会社員時代よりは融通がきくのかな。あとは、断れなくて何でも受けちゃうところがありましたね。しかも格安で。

でも、独立当初より3年目くらいの頃が一番大変でした。ちょうど2人めの採用を決めてからかな。いよいよ人を雇用しだす時の悩みは大きかったですね。私もそうなんですが、士業の方は人を育てるのが向いていない人が多いかもしれません。とにかく、未経験の人を育てる難しさを実感しました。

でも人を採用しないと士業の仕事って最終的に回らなくなるじゃないですか。その難しい壁をどうやって乗り超えていったのですか?

期待しすぎるのをやめました。「出来る、出来る」といって無意識に押し付けていたなぁと。あと、ミスマッチも多いですね。経験あるといっても実際の実務ができなかったりで、本人がシンドイ状態になって辞めていくんです。もう、そう思わせちゃったことに猛反省しました。最近は正社員にこだわらず、気軽に何人かを置いて回していく体制をとっています。無理せず柔軟な形で対応しています。

時間の有効活用とリスクヘッジの大切さ

ー独立してからの4年間を振り返って何か変化はありましたか?ー

間違いなく士業をとりまく環境は刻々と変化しています。独立してからの4年間でも、社会の働き方に関する意識はずいぶん変わったと思います。士業に依頼する敷居も低くなりました。保険屋さんに頼む感覚に近いのかな。それはとても歓迎すべきことだと思います。

個人的には子育て中というのもあり、働く時間を有効に使えるようになりました。なにせ士業事務所はどこも残業が多いので私はそれを変えたいと思っています。まず、自分が事務所を立ち上げる際に絶対やらないでおこうと思ったのは“給料計算”ですね。なぜなら子育て中の私とスタッフにとって、ミスれない・毎月期限がある・生産性がよくない…などの危険要素が多いからです。

子どもがいると何が起こっても大丈夫なようにするため、リスクヘッジは欠かせません。男性や独身女性の起業家の方よりも子育て中の私はその点はシビアかもしれませんね。ただ全てやらないと断るのではなく、他士業のマンパワーをお借りするなどの形で対応しています。

ーこの先どうなりたいですか? また、独立する人に何かアドバイスするとしたら?ー

私的には事務所をもっと大きくしたいとかいう気持ちもあまりなくて、自分のやりたいことをしながら新しい事業も社労士の仕事も出来たらいいと思っています。もっと売り上げが上がったら流行りのM&Aもやってみたいかな。

これから独立を考えている人には、しっかり理念を持っていて欲しいと思います。たまに他の士業の方とお話をしていて価値観の違いを感じることがあります。一体何がやりたいのか全く分からなくて悲しくなる人も少なくないです。何でこの仕事をやっているのか、自分のミッションは何であるのか、主軸をもってブレないことが大切ですね。そうでないと淡々としたこなし作業になってしまうから。

「なんで?」を考える人が成長する

ーイケてる士業とイケてない士業の違いは何だと思いますか?ー

感謝する気持ちがあるかないかだと思います。人を思いやる心のない人、人の気持ちを理解しない人はダメですね。自分も常に気をつけようと思っています。やはり何事にも道理というものがあって、常に「なんで?」という気持ちをもっていないと、人って大きく変われないのではないでしょうか。

たとえば人が自分から去っていったとしたら、「なんで去っていくのだろうか?」というふうに。「なんで?」を追求しないかぎり、いつまでも成長しないと思います。これは取引先の社長と話す場合も同じです。常に「なんでこうなったか?」といった話をして、失敗を前向きに捉えます。「なんで?」を深堀りしていかないと絶対に真実が見えてこないし、改善もしないです。

どうしても人は自分の失敗を認めたくないし他責の念を持ちがちですよね。でも、責め心の思考をやめないかぎり成長はないんだと思います。

新設立したNPO法人で実現したいこと

ー築城さんは社労士事務所のほか、新たにNPO法人も設立されたんですよね。ー

独立して3年目の途中、昨年8月にNPO法人ハッピーシェアリングを設立いたしました。これは会社員時代に離婚して、一人で子育てしてきた自分の経験から生まれた活動です。当時は残業の多い職場の管理職だったし、親も離れているので誰の手も借りずにやらなければと思い込んでいました。だから本当に辛かった。

今から思うとシングルマザーは我慢しなきゃと思いすぎていて、社会もまたそうさせているんです。弱者扱いなんですね。自分が独立を考えた時もまだ同じ思いを抱えていました。でもその後、コンサルティングを通して自分の心に向きあっていく中で、離婚したことをネガティブにとらえている自分に気づきました。憎しみから前向きにものごとを捉えられるようになっていく中で、驚くほど子どもが変わっていったんです。そこで自分の過ちに5年たって気づきました。

このような経験から、「子どもが発するSOSに気づいて、お母さんにも元気になってほしい!」との思いからNPOを設立しました。NPOを通じて離婚する前に親子がちゃんと会える機会を作ってあげられたらと思っています。

ー社労士の方との連携はあったりするのですか?ー

実はこれが連携しているんです。育児は働き方に大きく関わる問題です。お父さんも育児にかかわる社会であるべきなのに、離婚したあとはどちらかの一人親が子どもを見なければいけないというのが現状です。なかなか仕事と子育ての両立が大変なので会社も支援しなきゃいけません。その仕組みを作らなければいけないと思っています。

また離婚して間もないお母さんの働き口を、社労士委託を受けている企業様に問い合わせしたりしています。反対に企業側から適任者がいないか問い合わせをいただくケースもあります。

今は7:3の割合で社労士事務所に重きを置いて活動していますが、本当の理想は逆になりたいんです。今のあるべき姿から徐々にシフトしていきたいと思っています。

士業は“今”に敏感でなくてはならない

ー築城さんの士業の形には今っぽさを感じるのですが、何か理由があるのでしょうか?ー

社会問題を自分事に捉えられるか、またその社会問題に対し士業として何ができるのかを考えなきゃいけないと思っています。社会問題っていろいろあるじゃないですか。たとえば少子高齢化問題とか、環境問題とか、差別やジェンダーの問題とか。士業は特にそういったものに敏感であるべきです。

自分が淡々と目の前の士業に従事しているだけでは、その問題には触れにくいでしょう。でも、せっかく自分が士業事務所を立ち上げているんなら、いろんな問題に自分事として関わっていったほうがいいと思います。

自分はたまたま離婚とかシングルマザーの問題に直面したので活動していますが、きっと何もない人でもニュースとか耳に入ってくると思うんです。そこで「何でだろう?」って思うことってあると思うのですよ。自分に何ができるかを考えること。自分のことにしか興味がない人はダメですね。

たとえば仕事の依頼人も問合せの電話をかける人も、何かに困っている。周りや社会に何かに困っている人がいないのかアンテナをはり、そんな困っている人たちの気持ちを聞かせてもらう姿勢が大切です。そういったことへの感謝から始めたらいいのかな。「だれも見捨てないし、出来ないで済ませないよ!」といった気持ちでいたいです。たとえ出来なくても、出来る誰かを探したいですね。

ーここまで至れた理由は何だと思いますか?ー

「ありがとう」の言葉が量産されていくと自然とモチベーションが上がりますね。それが糧になっているかな。あと、子どもを育てている使命感。人間って絶対失敗するじゃないですか。失敗しても死んでないし!と思って前向きにとらえる。誠心誠意謝ってダメだったら、もう仕方ないや!という腹のくくり方が大事だと思います。

実は士業事務所としては失敗したなと思っているんです。自分が苦手だったので業務のスマート化できなかった。後手後手になってしまって早めにやっておけばよかったと後悔しています。これからは足場となるインフラをしっかりさせたいですね。人が続くか続かないかにも影響大きいと思います。行政はまだまだ紙ベースのインフラだけど、時間がもったいないから社内はデジタル化して業務効率を上げていきたいですね。

ー最後にひとこと、これだけは言っておきたいとかありますか?ー

そうですね(笑)。
感覚的にですけど、社員をかかえる雇用主というよりも一緒に仕事をやってくれる仲間を作る感覚のほうがやっていて楽しいと思います。自分の不得意部分を得意の先生に入って代わってもらうとか、雇用一辺倒ではない様々な方法をトライするのが面白いかも。昔は同業とつるまないようにしていたけど、早くにいろんな先生と会って仲間を作っておけばよかったなぁと思ってます。


ついき社会保険労務士事務所代表
株式会社ハッピーシェアリング代表
社会保険労務士 築城由佳

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